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判例情報


平成27年(行ケ)第10080号
斜面保護方法事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 公知文献には,金網を法面に固定することにより,金網を法面に固定するとの設置態様が示されてはいるが,金網の種類,材質,性能等の記載がないことから,金網の鉄線の引っ張り強度,鉄線の種類を選択することについて動機付けがない,とされた。

 事件番号等:平成27年(行ケ)第10080号(知財高裁 H28.03.10)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:KJSエンジニアリング株式会社/吉佳エンジニアリング株式会社
 キーワード:補正要件,明確性,実施可能要件,動機付け
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

*相違点を容易想到とした判断に誤りはない
 前記アの甲4の記載によれば,甲4には,前記第2の3(2)エ(ア)のとおりの甲4発明が記載されており,落石防止のための斜面安定工法として,網の上から受圧板を介しロックボルトを法面に打ち込むことにより,金網を法面に固定するとの設置態様が示されていることが認められる。
 しかしながら,甲4には,甲4発明に用いられる網の種類,材質及び要求される性能についての具体的な記載はなく,網を構成する鉄線の引っ張り強度についての記載も示唆もない。
 そうすると,甲4に接した当業者において,本件優先日当時に知られていた各種強度の多数の金網の中から,本件発明1のワイヤーの引っ張り強度「400~2000N/mm2」の数値範囲に含まれる甲5ないし7記載の「塩化ビニル被覆鉄線」及び「亜鉛めっき鉄線」で製作した金網を選択して,金網を選択して,甲4発明に適用する動機付けがあったものと認めることはできない。

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