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判例情報


平成26年(ネ)第10080号等
スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

  本件発明1が,周知課題以外に,それとは別の課題をも有することは,当該周知課題に基づいた容易想到性の存否を左右するものではない,とされた。

 事件番号等:平成26年(ネ)第10080号等(知財高裁 H28.3.30)
 事件の種類(判決):特許権侵害行為差止等請求控訴(原判決一部取消)
 原告/被告:日揮触媒化成株式会社/三井金属鉱業株式会社
 キーワード:進歩性,発明の課題,周知の課題
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 マンガンの溶出を抑制することにより,高温保存性やサイクル特性等を向上させることは,当業者にとって周知の課題であったと認められる。そして,マンガンの溶出量を抑制することにより高温保温性やサイクル特性を向上させるとの前記の周知課題が存在することは,当業者にとって明らかである。
 乙11発明において,高温保存性やサイクル特性を向上させるという前記の周知課題の解決のために,ナトリウムを取り込むという広く知られた手段を用いることとし,その際,電解二酸化マンガンを原料として使用することでLiMn1.85Li0.1Al0.05の結晶構造中にナトリウムを取り込み,それによりマンガンの溶出を抑制することは,当業者が容易に想到することであると認められる。
 仮に,非水電解質二次電池の初期放電容量の低下を防ぐことが,本件発明1の課題に含まれていたとしても,当業者が,乙11発明において高温保存性やサイクル特性を向上させるという前記の周知課題の解決のために,ナトリウムで中和した電解二酸化マンガンを原料として利用することでLiMn1.85Li0.1Al0.05の結晶構造中にナトリウムを取り込み,それによりマンガンの溶出を抑制することに容易に想到することができる以上,本件発明1がそれとは別の課題をも有することは,かかる容易想到性の存否を左右するものではない。

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