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平成27年(行ケ)第10244号
離型フィルム事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 引用発明1C,引用例2及び引用例3には,本件発明1の技術的意義が開示されていないから,引用発明1Cに開示された多数の樹脂の中から,本件発明1の樹脂を選択して組合せ,MMA含量を特定する動機付けはないとされた。

 事件番号等:平成27年(行ケ)第10244号(知財高裁 H28.09.21)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:X/住友ベークライト株式会社
 キーワード:進歩性,選択,組合せ,技術的意義
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 引用発明1Cにおいて,・・・かかる条件を満たす樹脂が多数列挙されているにすぎず,第1の樹脂と第2の樹脂において,それぞれいかなる樹脂を選択し,どのように組み合わせるかについて,その基準や具体的組合せが開示されているとは認め難い。
 さらに,引用発明1Cは,メタアクリル酸メチルから誘導される単位(MMA含量)に着目する構成やその技術的意義は何ら開示されていない。・・・MMA含量の変更によってエチレン-メタアクリル酸メチル共重合体(EMMA)の種々の物性は変わり得るのであって,融点によるかMMA含量によるかを単なる表記方法の相違にすぎないということはできないことからすれば,エチレン-メタアクリル酸メチル共重合体がメタアクリル酸メチルから誘導される単位を5重量%以上14重量%以下含有している旨のMMA含量に着目する構成や,5重量%以上とすることで良好な回路パターンへの追従性を示し,14重量%以下とすることでクッション層の端部からの流出を防ぐという本件発明1の技術的意義が,引用発明1Cに開示されているということはできない。
 したがって,引用発明1Cには,引用発明1Cに包含される多数の樹脂の中から,相違点Aに係る構成を採用すべき示唆や動機付けがされているとは認め難い。引用例2及び引用例3にも,かかる構成を採用すべき記載や示唆はされていない。
 本件発明1ないし5は,引用発明1Cに基づいて容易に発明することができたということはできない。

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