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平成27年(行ケ)第10210号
内燃機関用燃料事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 刊行物1には,効果的とされる最少濃度の1w/v%がよりも少量とした場合について,効果を妨げるような事情を示す記載がないことも考慮すると,引用発明の添加量を,相違点に係る本願発明の添加量まで低下させることに特段の困難はない,とされた。

 事件番号等:平成27年(行ケ)第10210号(知財高裁 H28..09.29)
 事件の種類(判決):拒絶審消取消請求(請求棄却)
 原告/被告:X1,X2,X3,X4,X5/特許庁長官
 キーワード:進歩性,特段の困難,臨界的意義
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 本願出願日当時,一般的な傾向として,セタン価が高いディーゼル燃料は,セタン価が低い燃料に比べて,着火性が良好であり, CO,HC等の未燃焼部分やNOx等の排出が減少し,燃費(燃料消費量が減少)することは技術常識であったと認められる。
 刊行物1の記載に接した当業者であれば,引用発明において,N,N-ジメチルドデシルアミンの添加量を1w/v%(1.27容量%)から1容量%に低下させた場合においても,セタン価は相応に高い数値となると認識することができる。そして,上記技術常識に照らすと,当該添加剤を用いない場合と比較して,当該添加剤を1容量%とした場合にも,セタン価が相応に高い数値となり,燃料消費量が低減し,CO,HC等の未燃焼分やNOx等の排出が低減することを,当業者が期待し,予測することができるものと認められる。なお,刊行物1には,N,N-ジメチルドデシルアミンを添加した場合の燃料消費量について記載されておらず,CO,HC,NOxなどの低減作用が確認されなかったことが記載されているとしても,それは単に確認していないだけか,または用いるエンジンやベース燃料などの具体的な試験条件によるものと理解するのが相当であって,当業者の上記の予測を妨げるものではないといい得る。
 引用発明の添加量である1w/v%,すなわち1.27容量%を,相違点に係る本願発明の添加量である1容量%まで低下させることに,特段の困難はないといえる。

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