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平成28年(ネ)第10003号
透明不燃性シート事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 特許請求の範囲のガラス組成物の屈折率の測定方法については本件明細書には記載がないが,素材メーカーが一般に採用する合理的な屈折率の測定方法と認定し,当該方法での測定値が構成要件を充足しないことを理由に,対象製品は構成要件を充足しない,と判断された。

 事件番号等:平成28年(ネ)第10003号(知財高裁 H29.01.18)
 事件の種類(判決):平成28年(ネ)第10003号(控訴棄却)
 控訴人/被控訴人:日東紡績株式会社/ユニチカ株式会社、株式会社ライフアートプランテック
 キーワード:ユニチカ株式会社、株式会社ライフアートプランテック
 関連条文:特許法70条

○知財高裁の判断

 本件各特許の特許請求の範囲の記載では,ガラス組成物の屈折率の測定方法が特定されていないし,また,本件各明細書における発明の詳細な説明にも,ガラス組成物の屈折率の測定方法は明記されていない。
 本件各明細書の記載においては,ガラス繊維の品番が特定されているのに対し,そのガラス繊維の屈折率が表示されていないこと等を考慮すると,本件各発明における「ガラス組成物」の「屈折率」は,ガラス繊維の屈折率を測定して得られたものではなく,繊維化する前のガラス組成物(原料)の屈折率であると認めるのが相当である。
 また,前記認定のとおり,ガラス組成物の屈折率は素材メーカーが一般に採用する合理的な屈折率の測定方法により測定されたものと解するのが自然な解釈である。そして,素材メーカーがEガラスについて商品データベースにおいて表示している屈折率は,小数点以下第3位のものが多いことからすると,少なくとも有効数字が小数点以下第4位まで測定できる測定方法のVブロック法であると推認するのが相当である。
 証拠(乙あ97の1)及び弁論の全趣旨によれば,本件シートの製造に使用したガラスヤーン(糸)の原料と同一のガラス組成物であるガラスマーブル「EFガラス原材料201012」について,Vブロック法を用いて有効数字を小数点以下第3位として四捨五入して屈折率を測定し,その屈折率によって算出したアッベ数によれば,本件シートからなる防煙垂壁は,「前記ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組成物と前記一対の硬化樹脂層を構成する樹脂組成物とのアッベ数の差」が34.6であるから,その差が「30以下であり,」との構成要件1F・2Fを充足すると認めることはできない。

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