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平成28年(行ケ)第10032号
フッ素置換オレフィンを含む組成物事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 自動車の空調装置の特殊性から,GWP、能力及びCOP等の条件が必須であるとは認められないから,標準沸点及び臨界温度を根拠として,引用発明のフッ素置換オレフィンを自動車の空調設備用にすることは当業者に想到容易であるとした審決の判断に誤りはない,とされた。

 事件番号等:平成28年(行ケ)第10032号(知財高裁 H29.02.22)
 事件の種類(判決):無効審消取消請求(請求棄却)
 原告/被告:ハネウエル・インターナショナル・インコーポレーテッド/ダイキン工業株式会社
 キーワード:進歩性
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 本件優先日当時,様々な蒸気圧縮サイクルを使用した装置に使用される冷媒一般において,より低減されたGWPを有する代替冷媒への転換が進められていたことなどがうかがわれる。他方,自動車の空調装置において使用される冷媒につき,他の装置と異なる要求として,低減されたGWPであることが求められていたとの証拠はない。また,自動車の空調装置における代替冷媒につき,自動車の空調装置の特殊性から,装置の仕様を(あまり)変更しなくて済む冷媒に限られるとともに,代替冷媒の能力及びCOPは現行冷媒とほぼ等しいことが必須とされていたことが技術常識であったことを認めるに足りる証拠はない。本件審決が,「自動車の空調装置」において使用される冷媒に必要な特性として,HFC-134aとの比較において能力及びCOPがほぼ等しいことを検討しなかったからといって,「自動車の空調装置」において使用される冷媒の認定を誤ったということはできない。
 本件優先日当時,HFO冷媒分子の沸点及び臨界温度について複数の文献が異なる値を報告することがあったとしても,それらの数値は,甲1発明に係るHFO-1234yfを自動車の空調装置の冷媒として選択可能か否かを判断する材料としては,十分に信頼性のある数値ということができる。仮に,甲5文献を考慮しないとしても,甲1文献には,Cで示される化合物の沸点はCFC-12のそれに近く,CFC-12の熱媒体の使用条件下での使用に適している旨の記載があること,CFC-12は自動車の空調装置用冷媒であることは周知であることに鑑みると,当業者において,HFO-1234yfをCFC-12と同じ用途である自動車の空調装置用冷媒として用いることは,適宜なし得ることということができる。

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