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判例情報


平成27年(行ケ)第10201号
容器詰飲料事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 比較例の色調変化は,イソクエルシトリン及びその糖付加物に加えて含まれるL-アスコルビン酸に起因する可能性がある以上,実施例の結果から,イソクエルシトリン及びその糖付加物の色調変化が抑制されていると認識できず,サポート要件に適合しないとされた。

 事件番号等:平成27年(行ケ)第10201号(知財高裁 H29.01.31)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(審決一部取消)
 原告/被告:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社/花王株式会社
 キーワード:サポート要件,実施例の結果
 関連条文:特許法36条6項1号

○知財高裁の判断

 本件明細書には,「・・・本発明者は,酵素処理イソクエルシトリンを飲料に配合し,それを高濃度化するに従い色調変化が顕在化することを見出した。」(【0007】)と記載されている。他方,本件明細書の・・・実施例・比較例全てにおいてイソクエルシトリン及びその糖付加物に加えて,L-アスコルビン酸も含まれている。
 そして,前記(3)によれば,本件出願日当時,アスコルビン酸の褐変により飲料が色調変化するという技術常識があったものの,イソクエルシトリン及びその糖付加物の色調変化に起因して,飲料が色調変化することは技術常識とはなっていなかったと認められる。そうすると,実施例において,アルコール類を特定量添加しpHを調整することにより,比較例に比べて飲料の色調変化が抑制されていることに接しても,当業者は,比較例の飲料の色調変化がL-アスコルビン酸の褐変に起因する色調変化を含む可能性がある以上,イソクエルシトリン及びその糖付加物の色調変化が抑制されていることを直ちには認識することはできないというべきである。
 以上によれば,本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件出願日当時の技術常識に照らして,本件訂正発明9~16は,容器詰飲料に含まれるイソクエルシトリン及びその糖付加物の色調変化を抑制することにより,当該容器詰飲料の色調変化を抑制する方法を提供するという課題を解決できるものと,当業者が認識することができるとはいえない。

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