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平成28年(行ケ)第10038号
ネマチック液晶組成物事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 本願発明の化合物群は引用発明の化合物群とその一部が一致するに過ぎないから,引用発明の2つの化合物群から選択された成分の組み合わせが,本願発明の2つの化合物群から選択された成分の組み合わせと一致するとはいえず,また,たとえ一致したとしても,引用発明における2つの化合物群の成分の合計含有量を特定の範囲のものとすることは認識できない,とされた。

 事件番号等:平成28年(行ケ)第10038号(知財高裁 H29.07.26)
 事件の種類(判決):無効審消取消請求(審決一部取消)
 原告/被告:DIC株式会社/JNC株式会社
 キーワード:実質的な相違点,2種の化合物の量の総和
 関連条文:特許法29条1項3号,2号

○知財高裁の判断

 ①甲1発明1における「式(1-1)及び式(1-2)で表される化合物」と②本件発明1における「一般式(II-1)で表される化合物」とを対比すると,①の化合物が②の化合物を包含するという関係にあるものではなく,①の化合物の一部と②の化合物の一部が一致するという関係にあるものにすぎない。このことは,「式(2-1)で表される化合物」(甲1発明1)と,「一般式(II-2)で表される化合物」(本件発明1)の関係にも同様に当てはまる。してみると,甲1発明1が,「式(1-1)及び式(1-2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物」及び「式(2-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物」を含有することをもって,本件発明1における「一般式(ⅠⅠ-1)及び(ⅠⅠ-2)…で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有」することと一致するということはできない。
 甲1発明1においては,式(2-1)で表される化合物は,式(1-1)及び式(1-2)で表される化合物とは別の一群のものとして,それぞれ当業者に認識される。当業者は,・・・化合物(1-1,2)を,・・・「5重量%から60重量%」の範囲で含有されるべき一つの成分として認識し,また,化合物(2-1)を,・・・「5重量%から40重量%」の範囲で含有されるべき別の成分として認識するのであって,これらの各成分を合わせた含有量を特定の範囲のものとすることを認識するとはいえない。したがって,甲1発明1における化合物(1-1,2)及び化合物(2-1)の総和としての重量が,上記の上限と下限を単純に加算した「10重量%から100重量%」であることが理解できるものではない。

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