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平成28年(行ケ)第10274号
フッ素置換オレフィンを含有する組成物事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 引用刊行物の請求の範囲の一般式に該当する化合物からなる本件訂正発明の熱媒体について,引用刊行物には実施例と同等の効果が得られたことの記載があるから,当該熱媒体は引用刊行物から具体的に把握でき,両者は実質的に異ならないとされた。

 事件番号等:平成28年(行ケ)第10274号(知財高裁 H29.10.11)
 事件の種類(判決):訂正不成立審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:ハネウエル・インターナショナル・インコーポレーテッド/特許庁長官
 キーワード:訂正審判,独立特許要件,一般式,熱媒体,HFO-1234yf
 関連条文:特許法126条5項

○知財高裁の判断

 本件訂正発明1と引用発明を比較すると,前者では熱媒体がHFO-1234yfに特定されているのに対し,後者ではそのような限定がない。
 しかし,引用刊行物の実施例5には,特定熱媒体として「F3C-CF=CH2」(HFO-1234yf)を使用し,「実施例1と同様にして,ヒートポンプの運転を行ったところ,実施例1とほぼ同様の結果が得られた。」との記載がある。HFO-1234yfの沸点及び臨界温度等の物性値やヒートポンプに使用した際の COP 及び冷凍能力について具体的なデータは記載されていないものの,HFO-1234yfは,実施例1で用いられたHFO-1243zfと同等のCOP及び冷凍能力を有し,これと同様にヒートポンプにおける熱媒体として使用され得るものであると考えるのが自然である。また,引用発明に係るC3HmFnで示される化合物は,ヒートポンプ用の熱媒体に対して要求される一般的な特性である潤滑油との相溶性に関しても問題はないことが確認されていることから,当該化合物(HFO-1234yf)を,潤滑油をも含む組成物として用いることも記載されているということができる。この点については,仮に本件優先日当時の当業者が,HFO-1234yfの能力及びCOPについて具体的な知見を有していなかったとしても,異ならない。
 本件審決は,引用発明の特定事項として,一般式で示された「特定熱媒体」を認定し,文言としてHFO-1234yfを明示的に示していないけれども,上記のとおり,当該特定熱媒体の具体的な化合物としてHFO-1234yfを把握することができるのであるから,原告主張に係る上記相違点は,実質的な相違点とは認められない。

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