知的財産情報

ホーム > 知的財産情報 > 判例紹介 > IL-17産生の阻害事件

判例情報


平成30年(行ケ)第10036号
IL-17産生の阻害事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 本件特許発明1の「T細胞によるインターロイキン-17(IL-17)産生を阻害する」ことは甲1発明の「T細胞を処理する」とは,異なる新規の知見であるから,当業者が容易に想到できたものではない,とされた。

 事件番号等:平成30年(行ケ)第10036号(知財高裁 H31.03.19)
 事件の種類(判決):維持審決取消請求(請求棄却)
 原告/被告:サン ファーマ グローバル エフゼットイー/ジェネンテック インコーポレイテッド
 キーワード:T細胞,阻害,動機付け
 関連条文:特許法29条2項

○知財高裁の判断

 本件特許発明1における「T細胞によるインターロイキン-17(IL-17)産生を阻害するため」という用途は,IL-23によるT細胞の処理によってT細胞におけるIL-17の産生が増加するという知見に基づき,IL-23によるT細胞の処理により引き起こされるIL-17の産生を阻害することを用途とするものであり,上記知見は,従来から知られていたTh1誘導やTh2誘導によるT細胞刺激とは異なるものであると認められる。
 甲1発明の「T細胞を処理する」とは,従来から知られていたTh1誘導によるT細胞刺激を阻害することを指すものであって,甲1には,記載も示唆もされていない「T細胞によるインターロイキン-17(IL-17)産生を阻害する」ことを指すものではないことは明らかである。本件特許発明1における「T細胞によるインターロイキン-17(IL-17)産生を阻害するため」という用途は,甲3発明または甲5発明の「T細胞を処理するため」とは明確に異なる。
 甲5に接した当業者において,この「p40サブユニットを中和することができる抗体」を,T細胞によるIL-17産生を阻害するために,IL-17濃度の上昇が見られる患者に対して選択的に利用する動機付けがあったとは認められない。甲1及び甲3には,IL-23のアンタゴニストによりT細胞によるIL-17産生の阻害が可能であることは,記載も示唆もされていない。
 本件特許発明1は,甲5発明,甲1発明又は甲3発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

© 2017 SAKURA PATENT OFFICE. All Rights Reserved. 特許業務法人 サクラ国際特許事務所
〒101-0047 東京都千代田区内神田1丁目18-14 ヨシザワビル6階
Tel. 03-5577-3066(代)/Fax. 03-5577-3067
国内および外国特許・意匠・商標の出願代理、鑑定、相談、訴訟|特許業務法人 サクラ国際特許事務所