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判例情報


平成26年(行ケ)第10158号
可食用酸及び/又はその酸性塩を含む薬剤組成物事件


弁理士  玉腰 紀子
弁理士  須山 佐一

○判決のポイント

 拒絶査定不服審判の請求書に提出物件として添付された2件の「手続補正書」について,本件書面1は,「提出日」の記載が不明りょうであるものの様式に従っており,また,審判請求書の「立証の趣旨」の記載と整合していることなどから,特許法17条の2第1項4号に基づく補正に係る手続補正書に該当するとされた。

 事件番号等:平成26年(行ケ)第10158号(知財高裁 H27.06.25 判決言渡)
 事件の種類(判決):拒絶審決取消請求事件(審決取消)
 原告/被告:X/特許庁長官
 キーワード:手続補正書の様式,「提出物件の目録」の欄
 関連条文:特許法17条4項,同法17条の2第1項4号

○事案の概要

 原告は,発明の名称を「可食用酸及び/又はその酸性塩を含む薬剤組成物と用途」とする発明について,国際特許出願をした。当該出願に対しては、本件拒絶理由通知(平成22年6月28日)を経たのち,本件拒絶査定(平成23年8月12日)を受けたため,原告は,本件審判請求書(同年12月26日付け)を提出して,拒絶査定不服審判の請求(本件審判請求)をした。本件審判請求書と同時に提出された書類中には,①本件審判請求書の【提出物件の目録】の「1・手続補正書」に対応するものとして,「【書類名】手続補正書」,「【提出日】平成22年12月 日」と記載された書面(本件書面1),②【提出物件の目録】の「7・手続補正書」に対応するものとして,「【書類名】手続補正書」,「【提出日】平成22年10月5日」と記載された書面(「本件書面2」)が含まれていた。
 審決は,本件審判請求について,請求項の数を16とする平成20年10月10日付け手続補正による補正後の特許請求の範囲の記載に基づいて本願発明1ないし3(それぞれ請求項3,9及び1に係る発明)を認定した。

○知財高裁の判断

 本件書面1が様式13(手続補正書の様式)に適合するかどうかについて検討するに,・・・本件書面1は,「【補正対象項目名】」欄と記載すべきところを「【補正対象項目】」欄と記載し,「【代理人】」の「【識別番号】」欄の記載がないほかは,様式13の定めに従った記載がされているものと認められる。
 しかるところ,「【補正対象項目名】」欄の欄名を「【補正対象項目】」と記載したことは,単なる誤記にすぎず,職権訂正の対象となる事柄であるものと認められる。次に,(「【代理人】」の「【識別番号】」欄については)・・・,上記の点は,窓口の担当者がCに本件書面1への押印を求めることなどにより補正可能な軽微な瑕疵にすぎないものと認められる。
 さらに,様式13には,「【提出日】」について,・・・必要的記載事項に当たらないことが示されている。この点に関し,本件書面1には,「【提出日】」欄に「平成22年12月 日」との記載があるが,この記載は具体的な日を特定するものではなく,「【提出日】」の記載に当たらないといえるから,本件書面1には,具体的な「【提出日】」の記載がないものとして取り扱うべきものといえる。
 そして,本件審判請求書の「3・立証の趣旨」に,「拒絶されるべきでない理由」として記載されている主たる理由は,平成20年10月10日付け手続補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし16について補正をすることで拒絶理由を解消するという内容のものであり,しかも,「4・むすび」には,「したがって,・・・手続補正をし,請求項を2つにまとめ,よって原査定を取り消す,この出願の発明はこれを特許すべきものとする,との審決をもとめる.」との記載がある。これらの記載は,本願の特許請求の範囲が平成20年10月10日付け手続補正による補正後の請求項1ないし16から本件書面1記載の請求項1及び2に補正されたことを前提としたものであることは明らかである。
 もっとも,本件審判請求書の「1・手続補正書 7」に対応するものとして本件書面2が提出されているが,本件書面2には,「【提出日】平成22年10月5日」,「【補正の内容】」欄に請求項1ないし3がそれぞれ記載され,「22.10.6」と刻印された・・日付印が押印されていることに照らすと,本件書面2は,本件審判請求書の提出日より前に提出された手続補正書であり,本件審判請求書の前提とする「請求項を2つにまとめ」る手続補正に係る手続補正書に当たらないことは明らかである。
 前記・・によれば,本件書面1は本願の特許請求の範囲の補正を内容とする様式13に適合する手続補正書であるから,特許法17条の2第1項4号に基づく補正に係る手続補正書に該当するものと認められる。そうすると,・・・本件審決には,本件書面1による補正がされたことを看過し,上記審理判断を行うことなく,本件書面による補正前の特許請求の範囲の記載に基づいて発明の要旨認定を行った誤りがあり,この誤りは,審決の結論に影響を及ぼすべきものと認められる。

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